戯曲の書き方その2:インスピレーションの源
この記事を読むことで
・劇作の学び方
・高校演劇部における、劇作の大切なポイント
を理解していただけます!
前回は「まずは企画書を作れ」という内容でした。しかし、「そもそも企画書が作れない」という声が聞こえてきそうです。
僕も、毎回悩むポイントです。
そこで、今回は「インスピレーションの源」と題して、戯曲制作のきっかけをどうやって見つけるのかについてです。
戯曲制作のきっかけ
僕の場合は大きく分けて3つあります。
1.好きな作品を真似る:オマージュ型
2.シーンと登場人物から動かす:シチュエーション型
3.手持ちの資源から考える:原資構築型
1.好きな作品を真似る:オマージュ型
この書き方はよく使います。さらに構成やジャンルや台詞、登場人物など細分化されるのですが、やはり、自分の好みの作品に出逢い、刺激を受けることでより良い作品を創ることができると考えています。
例えば『オーダー戦争』は落語『寿限無』やとある戯曲からインスピレーションを受け、創った作品です。『朝焼け色のバス停』も構成をとある戯曲から拝借する形で、創りました。また、『賽の河原』は別役実さんの作品を読み、「不条理劇を描きたい」という思いから生まれた作品です。
学ぶはの語源は真似ぶ、と言う通り、戯曲の書き方が分からない方は、まず「真似をする」ことから始めてみることをオススメします。
2.シーンと登場人物から動かす:シチュエーション型
ある程度作品の本数が増えると、面白そうなシチュエーションと登場人物、それにくっついてくるエピソードで1本書くこともできるようになります。
『おしるこ自動販売機』は中庭の見える渡り廊下と部活終わりの放課後、というシチュエーションから組み立てた作品です。
第1段階で話の作り方を覚えると、全くのオリジナル作品も創れるようになります。
3.手持ちの資源から考える:原資構築型
演劇部に所属され、戯曲を書かざるを得ない状況にある方は、まさにこのタイプだと思います。
限られた部員数と男女比、部費の予算感とそれに応じた舞台装置の規模感など。
書きたいものがいくらあっても、それを舞台化できなければ絵に描いた餅でしかありません。
戯曲は「未完の美学」と僕は呼んでおり、小説とは違って、書き上げて完成ではありません。
あくまで、「台本」と呼ばれる、劇作の土台でしかないのです。
現実的にどこまでの舞台化が可能なのかを見越して、創っていくことが必要です。
ポイントは3つあると思います。
1つ目は当て書きです。いわゆる、役者に合わせて登場人物の性格を決める方法です。
2つ目は物理的に可能かどうか、です。突拍子もない無責任な場面転換はないか?演出はないか?気をつける必要があります。
3つ目は観客に何を求められているか?です。観客あっての演劇だと思います。また、既成の作品ではなく創作だからこそ、情勢や公演会場に合わせた作品を創ることができるのは強みでもあると考えます。
今回の公演に何を求められていますか?考えてみてください。
最後に
以上が企画書を書くまでに考えるべきこと・劇作のきっかけです。
企画書ができたら書き出すのか?といいますと、実は初心者の方には試しておくべき準備があります。
ある程度書けるようになれば、次にご紹介する過程は飛ばして構いません。
次のステップ「登場人物を生きている人間として扱う」については、また次の記事で書きます。
今回は以上です!
みつむら
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